日本の伝統的な計算ツールである「そろばん」は、世界各国で注目されており、特に海外在住の日本人家庭や国際的な教育環境において、論理的思考や計算力を育むために活用されています。
「海外でそろばん?」「オンラインで大丈夫?」と不安に思う親御さんも多いかもしれません。
今回は、当メディアが注目するおすすめのオンラインそろばん教室のひとつとして、ドイツでそろばん指導を行い、多くの子どもたちを育ててきた 山片 重信(やまかた しげのぶ) さんにお話を伺いました。
そろばんとの出会い、そして現在
山片 重信さんとそろばんとの出会い
そろばん教室を始める前は進学塾で理数科目の講師をしていました。
その後ドイツに渡った後も、帰国子女のための進学塾で理数科目を担当していました。
ただ正直、昔から「受験勉強」という教育方針に疑問を感じていたこともあり、進学塾の講師を続けられなくなってしまったんですよね。
とはいえ、生活していくためには働かなければいけなかったため、Webサイトの制作をしたり、子どもたちにスキーの手ほどきをしてスキー合宿を開催するなど、本当にいろんなことに挑戦しました。
そのような活動を続ける中、1人のそろばん講師との出会いがありました。
その方は、そろばんを遊びとして捉えていて、「子どもはみんな天才で、とにかく遊びから何でも学ぶ」という教育スタンスが私にとても響きました。
進学塾で講師をしていた頃のモヤモヤが晴れたような気がして、「これだ!」と思い、2016年の夏あたりから私もそろばんを教え始めました。
もちろん私はそろばん未経験だったので、アシスタントをしながら教え方を学んでいきました。最初は7人から始めて、2018年の時点では60人くらいの生徒をかかえるようになりました。
いしど式、Bingo! Soroban Schoolの誕生
ドイツでは2年に1度、Mental Calculation World Cup(メンタルカリキュレーション・ワールドカップ)という世界暗算大会が行われます。種目がいろいろあって、掛け算、足し算、引き算、平方根、あとカレンダー計算に加えて、3つのサプライズ問題があります。
興味があって、主催者に見学したいと連絡を取ったんです。
そしたら、「見学は受け付けていないけれど、日本から参加する子どもの通訳を頼みたい」と言われてしまって…
通訳なんてやったことがなかったし、英語もそんなに自信がなかったのですが、「これは引き受けなきゃもったいない」と思って、引き受けたんですね。
日本の参加者は中学生3人でして、その中に伊勢田智大くんという子がその世界大会でぶっちぎりで優勝したんです!
これまで世界暗算大会で未成年の子どもが優勝したのも初ということで、なんと彼は16桁のそろばんをイメージできて、それを瞬時に計算できるんですよ。もう凄すぎですよね。
その生徒さんたちは、いしど式のそろばん教室の生徒さんたちで、引率で創始者の石戸先生もいらっしゃていたのでお話を伺ったところ、「楽しく学ぶ」という教育スタンスに非常に共感しました。
さらに珠算教師の資格取得や全国珠算連盟の検定試験を海外でも受けられるといった講師を育てる仕組みもしっかりできていることがわかり、「ドイツでも始めたい!」と、いしど式に加盟することを決意しました。
こうしてBingo! Soroban Schoolという名前でそろばん教室を再出発しました。
他校の教室とは、ここが違う! 大切にしている指導方針
何より大切なことは「生徒とのコミュニケーション」
当教室では、子ども一人ひとりに合わせた指導を徹底しています。特に、楽しく学べる環境作りを大切にしており、子どもたちが主体的に取り組めるようサポートしています。
やっぱり、「生徒とのコミュニケーション」って教育においてとても大切だと思うんです。
そろばんに限ったことではありませんが、先生がスパルタで厳しく押しつけるのではなく成長を支えてくれるという安心感、生徒との信頼関係を最も大切にしています。
例えば授業の最初と最後にちょっとふざけた雑談をしたり、リラックスできる言葉をかけたり、黙々とそろばんに取り組んでいるけれども、コミュニケーションがしっかり取れている状態。
うちの生徒は黙々とそろばんに取り組んでいますが、例えばゲームならいかにこのステージをクリアするか、スポーツならどうやれば自分は上手になれるか、試合に勝てるかを考えるように、そろばんもどうやったら正確性やスピードを上げられるかのゲームのようなものなので、それを一緒に考え、楽しくそして真剣にやっていますね。
やっぱり先生との信頼関係が一番大事で、それがなかったら、その上に何も築けないと思います。
個人的には、お笑いの要素を取り入れるのが一番いいと思っています。先生が生徒に格好つけたり壁を作らず自分をさらけ出してみんなを楽しませれるような人を参考にしています。
少し気長に、可能性の芽をつまない教育
昔は丁寧に教えていたのですが、だんだんと早く結果を出させたいという気持ちから、教え込むようになってしまうことがありました。
そうすると、短期的には成果が出るかもしれませんが、長期的にはその子の可能性を摘んでしまうことになるのではないかと感じています。
今では「教え過ぎない」ことも心が得ています。
少し気長に待つことも大切で、子ども自身が悩んで、「どうしてもスピードが上がらない」とか、「どうしても間違えてしまう」とか、「なぜかできない」と困る経験もすごく大事だと思います。
また、子どもは習ってもすぐに忘れちゃったりしますよね。大人からしたら「この子はどうしてすぐ忘れるんだろう」「理解していないから忘れるんだろう」といらだちを覚えることも多々あると思います。
ただ、大人は理屈が先行しがちですが、子供の場合は理屈よりも感覚で理解する割合が結構大きいと思うんですよね。何となくできちゃうとか、「わかる」というのは後からついてくることが多いです。
そもそも、大人でも「よくわかっていないけどできること」って、意外とたくさんあるじゃないですか。あとで「ああ、そういうことか」って、繋がることって誰しも経験があると思うんですよね。
鉄棒の逆上がりもやり方を教わったからって、すぐにできるわけではないじゃないですか。
それと同じだと思えば、ごくごく当たり前のことだと思います。
少し気長に待ち、子どもの可能性の芽をつまない教育を続けていきたいと思います。
様々な生徒が集うBingo Soroban School
当教室では、幼稚園児から小学生、中学生まで幅広い年齢の子どもたちがそろばんを学んでいます。
そろばんはシンプルな学びの道具なので、コツコツと努力すれば必ず成長できます。
Bingo! Soroban Schoolでは、楽しく学べる実績と環境が整っていますので、興味のある方はお気軽にご連絡ください。

指導を通して生まれた感動の瞬間
これまでの講師人生で印象的な体験はありますか?
たくさんの素晴らしい思い出がありすぎて、どれにしょうか困ってしまいますね。
それでは、幼稚園の年長さんの男の子のお話をします。
最初はお母さんがそばにいないと何もできず、すぐに泣いてしまうお子さんでしたが、そろばんを通じて徐々に自信をつけ、最初の検定試験に合格しました。
その後もメンタル面で大きく成長して、ちょっと次の検定試験を受けるにはまだ早いかも…という私のアドバイスに対しても、自ら「絶対に僕は受ける!」と言い張り、見事に試験をパスしたのです。
初めて会った時は内気ですぐに「できない」と泣いていた子が、そろばんを通じて自信をつける瞬間に立ち会えることが、指導者として何よりも嬉しい瞬間でした。
オンライン学習の不安を解消!安心して始めるためのポイント
オンライン学習を躊躇している親御さんへ何かアドバイスはありますか?
オンライン学習に向いている子と向いていない子がいるのは事実です。
しかし、オンラインのメリットは、近くにそろばん教室がない場合でも質の高い指導を受けられることです。
よく「自宅で集中して授業を受けることができるのか不安です」というお声をいただきますが、オンラインでもしっかりと子どもを見守りながら指導を進めるため、一度試してみることをおすすめします。
そろばん学習を検討している方へのメッセージをお願いします。
そろばんは、単に計算力を鍛えるだけでなく、自信をつけ、学びの楽しさを知ることができる素晴らしいツールです。
そろばん名人の大会に出場した大学1年生の生徒が「ゲーム感覚でそろばんを楽しんでいた」と話していたことがありますが、そろばんを勉強ではなく、野球やサッカーのような趣味と捉えることで、子ども自らが「うまくなるために練習してうまくなりたい!」と自主的に行動するようになります。
あとやっぱり親や兄弟と一緒にそろばんに取り組んでいる子は、すごく伸びますね。
練習量も増えるし、楽しんで練習するからなのでしょうね。
お子さんが「やりたい!」と思える楽しめる環境を作ってあげることが、成長につながります。
ぜひ、お子さんと一緒に楽しいそろばんを始めましょう!

※ 掲載内容は取材当時のものです。